キタハラヒロユキ・ドットコム
電脳生活


スケジュール管理の電子化を成功させる秘訣
(2001.9.8)


最近、友人のひとりからこんな話を聞いた。

この友人の職場は、一人1台以上のPCがあるとある技術系の会社である。最近、スケジュール管理のためWebベースのグループウェアを職場に導入したのだが、導入に伴い各人のスケジュールを書くホワイトボードをなくしてしまったとのこと。ところが、「誰々さんいますか」と電話で聞かれたとき、それまではホワイトボードに目を向ければ一発だったのが、いちいちグループウェアを立ち上げなければ、確認できず面倒になったそうだ。職場のIT化もかなり浸透してきたようだが、すんなりとはいかないようである。

キタハラヒロユキ・ドットコムも10年程前からスケジュールの電子化に取り組み、いろいろ試行錯誤していることもあり、今回はスケジュール管理の電子化についての話をしたいと思う。



・スケジュール管理対象の違いと管理する情報の用途の違い

キタハラヒロユキ・ドットコムがスケジュール管理にはこれまで、手帳、システム手帳、Organaizer、モバイルギア、ザウルス、Outlookなどを使ってきた。 キタハラヒロユキ・ドットコムの経験から、一口にスケジュール管理といっても「スケジュール管理の対象の違い」と「管理する情報の用途の違い」によってやり方を変える、つまり、アナログ(紙/ホワイトボード等)と電子(パソコンで使えるスケジュール管理ソフト、ザウルスのようなPDA)を使い分けることが成功のカギであると言える。

スケジュール管理と一口に言っても、実際には以下のような3つ管理対象がある。
・未来=将来の予定の管理
・現在=今どこでいつまで何してるかの管理
・過去=すでに終わった行動の管理

スケジュール管理を考えるとき、これら(現在・過去・未来♪)の違いを認識することが大事だ。なぜなら、『「やろうと思っていたこと」と、「今やっていること」と、「実際にやったこと」は、実はイコールではない』ということである。そして、スケジュール管理をする際には、その違いを認識することが大事なのである。違いを認識しないで、現在・過去・未来を管理しようとすると、混乱がおきる。ただ、未来と現在は同じになるとか、過去の管理は不要であるとか、仕事や職場によって状況は異なってくるので、各自違いの有無や、管理の必要性を考えてみなければならない。


管理しようとしている情報の用途の違いもいろいろある。
・スケジュールの調整を円滑にしたい(関係者のスケジュールが一目でわかる方法が重要)
・いまどこにいるのかをすぐ知りたいのか(情報を得る迅速性が重要)
・あの仕事をしたのはいつだったのか(仕事から過去が検索しやすい管理の仕方が重要)
・あの仕事をするのにどのくらい時間がかかったのか(仕事ごとにかかった時間が集計しやすい管理が重要)
等々、情報の用途の違いを認識し、それぞれ適した方法をとることが重要だ。

管理する対象において、スケジュール管理上、必ず未来=現在となる仕事・職場であっても、情報の用途が異なる場合は、管理のやり方を分けなければならない。冒頭で紹介した友人の例の場合、管理する対象において、未来=現在であったので、スケジュールの調整を調整する目的では大変便利なツールを、いまどこにいるのかをすぐ知る用途でもそのまま使っていたのが、不便を感じている原因と考えらる。



・スケジュール管理の電子化の実際

現在・過去・未来のそれぞれの管理には、それぞれ状況にあった適したやり方があり、 用途によってもやり方が変わってくることは、これまで述べたとおりである。 では、スケジュールの管理では、どれを電子化すべきで、どれを電子化すべきでないのであろうか。

現在・過去・未来のうち電子化して意味のあるものは、「未来」と「過去」である。電子化された将来の予定は、スケジュールの調整をする用途で使われることが多い。例えば会議を設定したい場合、関係者に口頭なり電子メールなりで会議の参加者全員または主要メンバーに、時間の空きを確認した上で、その返事を受けて会議の日時を決めて、決定した時間を、関係者に連絡するというプロセスが必要である。電子化されたスケジュールが公開・共有されていれば、最初の人のスケジュールを聴くというプロセスを飛ばすことが可能となり、調整にかかる手間隙がワンステップ短縮できる。
従って「未来」のスケジュールの電子化は、関連する人(上司、顧客、部下、同僚等)に公開して初めて、その意味がでてくるのである。

私が、かつて自分の予定を一時期電子化したにもかかわらず、また紙の手帳に戻ってしまったのは、電子化したスケジュールが自分自身に閉じていたことが原因であった。外部に公開しない自分個人に閉じたスケジュールであれば、電子化しようがしまいが自分のやりやすいようにやればよいわけである。私の場合、電源をいれなくてもすぐ見ることが出来る紙の手帳の方が便利だったので、紙の手帳に戻ってしまったというわけだ。

  格言:『スケジュールの電子化は、公開/共有してこそ意味がある』

過去の管理は、主に、防備録みたいなところがあるので、検索しやすいことが重要である。そういう意味で、電子化しておくメリットがある。ある新しい仕事をするとき、過去に同様の仕事をしたときに要した時間とか、ぶつかった問題点等を、過去の記録から得ることができる。(もちろん過去を振り返らない人には、メリットがない。)

電子化が難しいのが、現在、つまり、今どこいつまで何しているの管理である。冒頭の友人が困っていたものこれである。 簡単に見通しがきく程度の広さの職場であればホワイトボードの行き先表示板を使えば良いし、 かつ一人1台のPCがあり、かつもう少し規模の大きな職場であれば、ホワイトボードの行き先表示板を電子化したツールを使ったほうが、 効率的にビジネスをすることができる。

ある警備会社では、100人以上の警備員を毎日いろいろな場所へ派遣しているが、すべて事務所の巨大なホワイトボードで管理している。 電機メーカーのある職場では、ソフト作りが得意な人がホワイトボードを電子化したソフトを片手間につくって、活用している。 (もちろん起動も動作も軽いソフトである。)

しかし、これでは解決しないケースもある。 同じ建物の中で仕事している時も、行き先表示用のホワイトボードに 書いてあるところと違うところに行っていたり、 一度に何箇所も寄っていたり、途中で同僚に捕まっていたり、 同じフロア内にいることはいるのだが、 フロアが広すぎて探し出せない(そして、フロア内にいるにもかかわらず携帯に連絡が入ったりする)ような状況である。 こんなときは、もうどうしようもなくなってしまう。 しかし世の中考える人はいるのものである。 キタハラヒロユキ・ドットコムが知っているある職場では、 行き先表示用のホワイトボードを電子化したソフトを電話対応に改良して使っているそうだ。 外出先から携帯電話を使って書き直すこともできるようになっているそうだ。

スケジュールを電子化してみようかと考えている方が電脳日記の読者にいるようであれば、今回の電脳日記を参考にしていただければ幸いである。

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